0258学-まなぶ -> 雑学
筆者:miki 
2016年1月19日 6時30分
「マリリン・モンロー・ノーリターン」(1971年)作詞:能吉利人(桜井順) 作曲:桜井順 歌:野坂昭如(エリックレコード「不浄理の唄」に収録)
新潟市にも長岡市(かっての新潟三区といったほうがいいかな)にも因縁のあった野坂 昭如氏2015年12月9日逝去、85歳。
数字だけを見るなら大往生と言って差し支えないのでしょうが、お騒がせの塊のようなご本人からすれば、もっと世間をあっと言わせたかったかもしれません。
ひと頃流行った言葉でマルチタレント、八面六臂な活躍で流行に乗りマスコミの寵児となりました。こうした人種には珍しく、今でも根強い人気があるのは、たんなる一過性の流行にとどまらない不易な本物の才能があったからなのでしょう。
歌手活動はそんな野坂氏の多彩な才能の一つ。ぼくにとってインパクトのある歌はサントリーウイスキーのCMソング「ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか」『(1976年)作詞:仲畑貴志 作曲:桜井順 歌:野坂昭如』もっともこのCMソングで野坂氏を歌手だと思っていたわけでなく、変なタレント作家と見ていたのですが。「黒の舟歌」をはじめとした個性的な持ち歌をレパートリーにごまんと抱える「りっぱな」歌手だ再認識するのはずっと後の事。
「マリリン・モンロー・ノーリターン」は野坂氏のレパートリーの中でも[黒の舟歌]とならんで有名曲。おそらくぼくもリアルタイムで耳にしているはず。ただ、覚えているのは「マリリン・モンロー・ノーリターン」のフレーズ。むしろこのフレーズのほうが独り歩きしていたように思います。
歌もユニークなのですが、この曲が収録されているLP「不浄理の唄」ではこの曲にはもう一ひねり趣向が凝らされていて、歌詞はオリジナルの漢詩を日本語に訳したという設定になっています。
ちなみに対応する一番は以下の通り。
この世はもうじきお終いだ
あの街この街鐘が鳴る
切ない切ないこの夜を
どうするどうするあなたなら
マリリンモンローノーリタンノーリタンノーリタン
現世不久看板
彼街我街鳴鐘
無銭無女今夜
如何過時貴殿
嗚呼天女不還
「この世はもうじきお終いだ」は「現世不久看板」となり、「看板」が「お終いだ」に、『なるほど』と膝を打ち、「切ない」が「無銭無女」でニヤニヤ。
今ではそれなりにぼくも知恵がついているので、「ノーリタン」は「不環」だとまちがえないのですが、その頃は英語なんてまるで知らないものですから、ノーリタンをノータリン「少脳」と思い込んでいました。どうもぼくだけに限ったことではなかったようです。








