0258学-まなぶ -> 雑学
筆者:miki 
2010年7月25日 16時17分
「だれかが風の中で」 作詞:和田夏十 作曲:小室等 歌:上条恒彦
中村敦夫の当たり役といったら、木枯し紋次郎。トレードマークの高楊枝は流行った記憶はないですが、決めセリフ「あっしには関わりのねえことでござんす」は一世を風靡したといっても言い過ぎでないでしょう。
木枯らし紋次郎という時代劇(1972年放映開始)が受けたのは、後付けですが、陰りが見え出した高度経済成長、深刻化の一途をたどる公害、目標を失い挫折しつつあった学生運動、海外では泥沼化していたベトナム戦争、と大きな曲がり角に差し掛かった日本や世界が、あらたな見通しと再出発を求めていたさなかに、すべてにたいしてきっぱり無関係を宣言するところの潔さが、さまざまなしがらみに巻き込まれている視聴者の心をとらえたんでしょうね。
ですから、紋次郎が事件に関わるのは、やむを得ず巻き込まれたという消極的な側面も確かにあるのですが、むしろ、紋次郎が関わることを自らの意志で自覚的に選択したという積極的な側面が強くあります。しかも、すべてにとらわれない。ここに極めて行動的で自由闊達な魅力的なキャラクターが生まれたのです。
そう考えながら、上条恒彦が朗々と歌うこのテーマソング「だれかが風の中で」を聞くと、紋次郎のキャラクターとあいまって、すさまじい経験を重ねた過去をもちながらも、けっして絶望せずたくましく未来へ向かって進んでいく姿が浮かんできます。今聞くとなおさら共感します。名曲です。








