0258学-まなぶ -> 雑学
筆者:miki 
2008年10月2日 1時52分
「小さなかもめ」のジャケットには、はるか昔フォークソングのスタイルの青年の写真。「中村成典青春を讃う」の副題とくれば、まさしく70年代フォーク。
この中村さんは高校時代に「なかむらくん」なるトリオを組み、積極的に音楽活動していた人物なんですね。
年譜によるとNHKのFMミュージックランドに出場し、さらには海援隊とも共演したそうです。ちなみに彼を含めたメンバーは幼馴染、栃尾出身です。
めぐりめぐって手にしたこのレコード、実は追悼盤。定価は記されてないから、非売品として関係者のみに配られたものかもしれません。
中村成典さんは1979年の1月に19歳で逝去。この年の4月にこの追悼盤は作成されました。
「小さなかもめ」
A面
1:二年目の出会い
2:冷たい夏
3:幼い頃へ
4:われらが百姓四季の歌
5:今貴方へ
6:一人で生きてゆくのです。
7:悲しみのスケッチ
B面
1:明日が見えてたら
2:目をさませば
3:僕のお嫁さんになっていっしょに田の草とりをしてくれるかい
4:小さなカモメ
5:あなたの写真
アマチュアフォークシンガーといえば、どうしても、見附出身の冨所正一さんを連想してしまいます。彼は前年1978年に急逝し、その後追悼盤がでています。
中村さんたちには、冨所正一さんがもっていた強烈な個性はありません。むしろ堅実な高校生のアマチュアバンドの印象です。歌の多くは背伸びをしながら恋愛や悩みを夢見がちに歌っている内容です。
こうした中にあって、A-4の「われらが百姓四季の歌」B-3の「僕のお嫁さんになっていっしょに田の草とりをしてくれるかい」という曲は地に足がついているというか、現実の生活をしっかり詞にすくい上げていて、説得力のある佳品となっていると思います。
またB-1、2はラジオ出場の際の音源が番組の司会者のやり取りとともに聞け、当時のラジオ放送のことが思い出され、興味深かったですね。
最後の「あなたの写真」は中村さんを追悼して作られた曲で、残されたメンバー二人の演奏です。
冨所正一さんといい、この中村成典さんといい、志のほんの入り口というか人生のこれからという時期に去っていかざるをえなかったことはさぞ心残りだろうと思います。しかも、さまざまな思いの詰まった貴重なレコードを何の因果か、ぼくが手にすることになろうとは。
人生ってやつは儚いのか、したたかなのか、偶然なのか、でたらめなのか、まったくわからなくなります。









